海外旅行をする際に「海外旅行保険って必要?」と気になる方も多いはず。
今回は、海外旅行保険の必要性、具体的な補償内容、保険の選び方、クレジットカードの保険付帯についてお伝えします。
目次
海外旅行保険は必要?トラブルの事例
海外旅行には、海外旅行保険が本当に必要なのでしょうか。
海外で起こるトラブルや事例をもとに考えてみましょう。
海外旅行をした人の27人に1人がトラブル発生
海外旅行中に考えられるトラブルは、病気やケガだけでなく、携行品の損傷や盗難、賠償責任など様々なケースが挙げられます。
海外旅行でそのようなトラブルに遭う確率は3.7%、つまり27人に1人が何らかのトラブルに見舞われる可能性があるということです。
ジェイアイ傷害火災保険がまとめたトラブルデータでは、以下の結果が出ています。
海外旅行保険で事故件数が多い補償項目
1位 治療・救援費用(46.4%)
2位 携行品損害(26.9%)
3位 旅行事故緊急費用(23.0%)
上位の3項目で、全体の96.3%を占めています。
海外旅行保険は、ケガや疾病の治療費などにおいてはもちろん重要な役割を担っていますが、その他にも、手荷物などの損害や飛行機の遅延など、予期せぬトラブルにも利用されていることが分かります。
補償項目 | 補償内容・具体例 |
治療・救援費用 | ケガや病気による治療費用、救急車などの交通費、医療通訳費、入院した際に家族が現地に駆けつける場合の渡航費用、日本や第三国までの医療搬送費用などが補償されます。
|
携行品損害 | パスポート、スーツケースやカメラ、携帯電話、時計、衣類、旅券などの手荷物の盗難や破損が補償されます。
|
旅行事故緊急費用 | 航空機の遅延や欠航、航空会社に預けた手荷物が現地に届かないなど、予期せぬトラブルに遭遇した場合の費用(交通費、宿泊費、食事代、身の回り品購入費等)を補償します。
|
ヨーロッパ周遊旅行は持ち物に・アジア周遊旅行では病気に注意
地域 | 治療・救援費用 | 携行品損害 | 旅行事故緊急費用 |
ヨーロッパ | 34.0% | 40.5% | 21.4% |
アフリカ | 34.8% | 52.4% | 10.7% |
アジア | 63.7% | 16.0% | 18.6% |
オセアニア | 72.2% | 9.6% | 16.8% |
(データ参照:ジェイアイ傷害火災保険)
ヨーロッパやアフリカ旅行では、スリに狙われやすく盗難被害も多い傾向にあります。そのため、携行品損害の保険利用が多い割合となっています。
アジアやオセアニア旅行では、暑い日が続いたり、衛生環境があまり良くなかったりします。このような理由から、腹痛や体調不良を起こし、治療・救援費用の保険利用が多い割合になっていると考えられます。
治療費の高額請求の例
病気やケガなどは、予期せぬときに起こり、計り知れないほど高額な請求になりうることがあります。
以下、ジェイアイ傷害火災保険の事故データから高額請求がされた例を見てみましょう。
国 | 内容 | 費用 |
カナダ | 意識が朦朧として立つことができなくなり救急車で搬送。 脳幹梗塞・肺炎と診断され、42日間の入院と手術。家族が駆けつける。 医師・看護師が付き添いのもとチャーター機で医療搬送。 |
70,810,000円 |
ハワイ | 胃の違和感と息苦しさから受診。 胆嚢炎・膵炎・腎不全と診断されて21日間の入院。家族が駆けつける。 医師が付き添いのもと医療搬送。 |
24,380,000円 |
韓国 | 昼食中に気分が悪くなり嘔吐し、意識を失う。 クモ膜下出血と診断されて25日間の入院、手術。 家族が駆けつける。医師・看護師が付き添いのもと医療搬送。 |
6,070,000円 |
フランス | 夕食後に気分が悪くなり倒れて頭を強打。翌朝もめまいが続いたため受診。 ウィルス性内耳炎・硬膜下血腫と診断されて13日間の入院。 家族が駆けつける。医師が付き添いのもと医療搬送。 |
5,610,000円 |
シンガポール | クルーズ中に嘔吐・吐血のため救急車で搬送。 胃炎と診断されて7日間の入院。 家族が駆けつける。 |
4,400,000円 |
オーストラリア | クルーズ寄港中のレストランで転倒し腰を強打。 大腿骨頸部骨折と診断されて12日間の入院、手術。 家族が駆けつける。看護師が付き添いのもと医療搬送。 |
3,880,000円 |
グアム | ビーチでシュノーケル中に溺れる。 心筋梗塞と診断されて5日間の入院。 家族が駆けつける。 |
3,520,000円 |
国別に見た救急車の料金例
- ニューヨーク(アメリカ) 約50,000円
- ロサンゼルス(アメリカ) 約123,000円
- バンクーバー(カナダ) 約42,300円
- ミュンヘン(ドイツ) 約67,000円
- ロンドン(イギリス) 0円
- ローマ(イタリア) 0円
- ゴールドコースト(オーストラリア)約35,800円に走行料金(1㎞あたり約150円)
- パリ(フランス) 約6,900円に走行料金(1㎞あたり2ユーロ)
- シンガポール 非救急の場合のみ有料
国民健康保険や民間の医療保険が適応されても海外旅行保険は必要?
日本の健康保険は海外においては、どのように適応されるのでしょうか。
また、健康保険が適応されても、海外旅行保険は必要なのか考えてみましょう。
海外旅行は国民健康保険の海外療養費制度で充分?
国民健康保険には海外療養費制度というものがあります。
海外療養費制度とは
海外療養費制度とは、海外で急な病気やけがなどにより、現地の医療機関で診療等を受けた場合、申請により一部医療費の払い戻しを受けられる制度です。
国民健康保険を日本国内で利用した場合は、医療費の個人負担は3割ですが、海外療養費制度はこれと少し計算方法が異なります。
海外療養費制度の支給額
海外で受けた治療を日本国内で受けた場合にかかる治療費に換算し、そこから自己負担相当額を引いた額が支給されます。(標準額は7割)
たとえば、アメリカで治療を受け、100万円かかったとし、
日本で同じ治療を受けた場合は、30万円だったと仮定します。
これに海外療養費制度を適応させると、30万円の7割である、21万円が支給されます。(この場合79万円は自己負担となってしまいます。)
日本の治療に換算したとき、海外で支払った額の方が低いときは、海外で払った額をもとに計算されます。
では、海外と日本の医療費がどの程度異なるのかを見てみましょう。
諸外国における盲腸の治療費比較
都市(国) | 費用の目安 |
ニューヨーク(アメリカ) | 152.2~440.9万円 |
パリ(フランス) | 22.1~97.3万円 |
マドリッド(スペイン) | 48.6~91.8万円 |
ロンドン(イギリス) | 74.1万円 |
ローマ(イタリア) | 69.2~73.1万円 |
ジュネーブ(スイス) | 27.8~70.5万円 |
バンクーバー(カナダ) | 66.7万円 |
シンガポール(シンガポール) | 34.9~43.6万円 |
デュッセルドルフ(ドイツ) | 35.7万円 |
東京(日本) | 30.0万円 |
(参照:東京海上日動)
上記のデータをもとにすると、海外療養費制度で支給されるのは21万円なので、ニューヨークで盲腸になり、440万円を払ったとしたら、419万円は自己負担となってしまいます。
これらを考慮すると、海外療養費制度を海外に行く際の保険として頼りにするのは危険です。
自己負担は必ず発生する上、日本よりも高額な治療費だった場合の差額が大きいのが痛手です。
申請に必要なもの
海外療養費の申請には、診療内容のわかる書類、明細がわかる領収書が必要になるので、申請をお考えの方は書類等をもらい忘れないようにしましょう。(日本語に訳した書類の添付も必要)
海外旅行保険の補償内容はどのくらい必要?
海外旅行保険とはいえ、一体どんな補償内容が必要で、どのくらいの額が補償されると安心なのでしょうか。
その補償内容と金額について見てみましょう。
海外旅行保険で受けられる補償内容
海外旅行保険で補償されるのは、おおよそ以下の内容となっています。
- 治療費用
- 障害死亡・後遺障害
- 疾病死亡
- 救援者費用
- 賠償責任
- 携行品損害
- 航空機寄託手荷物遅延等費用
- 航空機遅延費用
- その他
では、具体的な事例をもとに補償項目を見てみましょう。
補償項目 | 具体事例 |
治療費用 |
|
障害死亡・後遺障害 |
|
疾病死亡 |
|
救援者費用 |
|
賠償責任 |
|
携行品損害 |
|
航空機寄託手荷物遅延等費用 |
|
航空機遅延費用 |
|
その他 |
|
海外旅行保険の補償額はいくらあれば安心?
先に述べたように、海外旅行保険で実際に利用されているのは、「治療・救援費用」「携行品損害」「旅行事故緊急費用」の3項目で、全体の96.3%を占めています。
また、高額請求の事例をご紹介しましたが、実際に高額請求される確率は高くありません。
では、海外旅行保険の補償はどの程度の額が最低限必要なのでしょうか。
押さえておきたい補償額
治療費用
高額請求は治療費300万円以上のことを指すと言われます。実際に300万円以上の請求がある確率はとても低いのですが、万が一のことを考えると、治療費用は500万円以上の補償があった方が安心です。
救援者費用
救援者費用は入院したときに、家族が現地まで行く際の航空運賃やホテルに宿泊するための費用と入院している本人や救援へ行く人が必要な身の回り品の購入費などの費用で、救援者は3名まで、最大14日分を補償されることが一般的です。これを踏まえて考えるなら、100万円~200万円以上あれば大丈夫でしょう。
賠償責任
賠償責任は、場合によっては多額の請求も考えられます。人にケガを負わせてしまったり、高価なものを壊してしまったなんてこもあるので、最低でも2,000万円~3,000万円程度は必要でしょう。
疾病死亡
疾病死亡の場合は、独身であるか、所帯を持っているかの考慮だけでなく、もし生命保険加入しているなら、高額な補償をつけなくても遺族への補償は十分である可能性があります。生命保険に加入していない場合は、残された家族や親族のことを考慮した金額が必要となります。
携行品損害
携行品損害については、高額な持ち物がなければ、30万円程度あれば十分足ります。
以上の押さえておきたい補償額はあくまでも目安です。旅行先やご自身の体調によってもリスクは異なります。
海外旅行保険が必要なら、どこで申し込む?
旅行代理店でツアープランのオプションとして申し込む
海外旅行を旅行代理店を通して計画している方は、旅行を申し込む際に海外旅行保険を付けるか尋ねられることが多いでしょう。
ただし、旅行代理店は保険会社からの代理で請け負っているので、保険に関しての問い合わせは別の窓口となることがあります。
インターネットから申し込む
旅行代理店などの窓口では保険会社や商品が限られていることがあり、自分で補償内容や保険料を決められません。
インターネット経由なら、同じ保険内容でも窓口と比べて、比較的安く海外旅行保険に加入できるので、おすすめです。
簡単に申し込むことができる上、分からないことがあったら公式サイトで調べることも容易です。
空港で申し込む
緊急で海外に行くことになり、時間がない方は空港にある保険カウンターおよび自動販売機で海外旅行保険への申し込みができます。
しかし、同じ保険会社の保険でも人件費がかかる分、インターネットを経由した保険料よりも4~5割程度高くなるなんてことも。
空港を利用するのは、緊急時のみにすることをおすすめします。
クレジットカード発行会社のクレジットカードを発行する
クレジットカードには海外旅行保険が付帯されているものがあります。
保険料はかからず、クレジットカードの年会費のみで適応されるので、とてもお得な方法です。
クレジットカードには海外旅行保険が付帯されているものがある(海外旅行保険の保険料は無料!)
クレジットカードの海外旅行保険は必要?
クレジットカードに付帯されている海外旅行保険は必要なのか、または保険会社の海外旅行保険の代替として利用できるのか、気になる方も多いはず。
では、クレジットカードの海外旅行保険について検証していきましょう。
クレジットカードと保険会社の海外旅行保険の比較
では、AIG損保の海外旅行保険とエポスカード(クレジットカード)の保険付帯の内容を比較してみましょう。
補償項目 | AIG損保の海外旅行保険(IN4) | エポスカード(クレジットカード) |
傷害死亡 | 1.000万円 | 最高500万円 |
傷害後遺障害 | 30万円~1,000万円 | |
傷害治療 | 2,000万円 (疾病応急治療・救援費用 300万円限度) | 200万円 |
疾病治療 | 270万円 | |
救援者費用 | 100万円 | |
緊急歯科治療費用 | 10万円 | - |
疾病死亡 | 500万円 | - |
賠償責任 | 1億円 | 2000万円 |
携行品損害 | 20万円 | 20万円 |
旅行事故緊急費用 | 5万円 | - |
料金は、以下となります。
利用日数(~まで) | AIG損保の海外旅行保険(IN4) | エポスカード(クレジットカード) |
1日 | 1,960円 |
エポスカードの年会費は無料なので実質0円 (1旅行につき90日間まで) |
2日 | 2,720円 | |
3日 | 3,410円 | |
4日 | 4,000円 | |
5日 | 4,900円 | |
6日 | 5,680円 | |
7日 | 6,740円 | |
8日 | 7,470円 | |
9日 | 8,070円 | |
10日 | 8,750円 | |
11日 | 10,230円 | |
12日 | 10,950円 | |
13日 | 11,670円 | |
14日 | 12,310円 | |
15日 | 12,900円 | |
17日 | 13,770円 | |
19日 | 15,080円 | |
21日 | 16,360円 | |
23日 | 17,580円 | |
25日 | 18,810円 | |
27日 | 20,180円 | |
29日 | 21,440円 | |
31日 | 22,800円 |
上記の情報からも分かるように、クレジットカードの補償内容のデメリットとしては、
- 緊急歯科治療費用
- 疾病死亡(病気による死亡)
- 旅行事故緊急費用(欠航などによるホテルへの宿泊費等)
この3つの補償内容がないことです。
その反面クレジットカードのメリットは、なんといっても保険料がかからずに年会費のみで海外旅行保険が付帯されることです。
年会費が無料のクレジットカードなら保険付帯も実質無料
では、「緊急歯科治療費用」「疾病死亡(病気による死亡)」「旅行事故緊急費用(欠航などによるホテルへの宿泊費等)」はなくてもいいけど、
クレジットカードは補償内容の額が低くて心配な方は、これからご紹介する方法で対策することができます。
クレジットカードを何枚かもつことで手厚くなる保険付帯
クレジットカードの海外旅行保険の補償額が足りないと感じている方は、クレジットカードを複数もつことで補うことができます。
これは、クレジットカードの合算が可能だからです。
保険内容の合算例
エポスカードの傷害治療200万円+楽天カードの傷害治療200万円=合算して傷害治療は最高400万円
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保険会社とクレジットカードの海外旅行保険を上手く組み合わせるのもおすすめ
海外旅行で、ウィンタースポーツやサーフィン、ダイビングなどを行う場合は、事故やケガにつながる確率が高くなるので、
保険会社の海外旅行保険にも加入しておくと安心でしょう。
しかし、保険会社の海外旅行保険は高いので、保険に加入するのは旅行期間中のダイビングをする日だけにしたいという方は、
他の日をクレジットカードの保険付帯でカバーしていけば費用を抑えることができます。
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海外では何が起こるか分かりません。
楽しい旅行が、海外旅行保険に入っていなかったために最低な思い出になってしまった…なんてことになってしまわないように、
海外旅行に行く際は安心と安全のためにも海外旅行保険があった方がいいでしょう。
年会費無料のクレジットカードでも、何枚かもつことで、海外旅行保険を手厚くすることができるので、海外旅行の際には複数枚のクレジットカードを持つようにしましょう。
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